オバマ大統領宣誓・就任式――歴史の継承者となり、自らも新たな歴史を刻む
遅ればせながら、新年明けましておめでとうございます。
昨年中は、ほんの数回しか更新できず、それでも時々当ブログを訪れて下さる方に、申し訳なかったと思っております。本年は、心機一転当ブログでの情報発信も頑張っていきたいと思っておりますので、引き続き宜しくお願い致します。なお、スパムメイル対策のためにブログ上での投稿やトラックバックをご遠慮していただいておりますが、メイル・アドレスについては公開しております。どしどしとコメント、ご質問、ご批判などいただければ幸いです。
新年第一回目の更新は、ワシントン在住者らしく先日1月20日(火)に行われたオバマ新大統領の宣誓・就任式についてメディア報道等から拾った私のメモからお伝えしたいと思います。
宣誓を前にして大統領就任
連邦議会特設ステージを会場に開催されたオバマの大統領宣誓・就任式は、予定されていた1月20日午前11時30分よりやや遅れてスタートした。オバマが正式に紹介され会場に招き入れられたのが11時40分過ぎ。合衆国憲法の規定によれば、大統領の任期の移行は同日の正午と定められている。しかし、開始遅れのために、正午に差し掛かったときに式次第は宣誓の一つ前――Star Wars、Jawsなどの映画音楽の作曲で知られる巨匠ジョン・ウィリィアムズがこの日のために作曲した"Air and Simple Gifts"が、世界的なチェロリストのヨーヨー・マ(馬友友)らに演奏されている最中であった。このため、ライブ中継をするニュースメディア各局では、「演奏中ではありますが、合衆国憲法の規定により、オバマが正式に第44代合衆国大統領に今就任致しました」との趣旨で、少々不恰好なアナウンスが入った。黒人初の大統領となることは当然だが、年齢的には47歳での大統領就任は史上5番目に若く、リンカーン(17代)、グラント(18代)に続いてイリノイ州から選出された史上3人目の大統領となる。
宣誓にリンカーンの聖書を使用
正午を5分ほど過ぎて、ようやくオバマの大統領宣誓が行われた。宣誓時に左手を置くためにオバマが選んだのは、エイブラハム・リンカーン第16代大統領が1861年に宣誓時に使用した聖書(米議会図書館所蔵)。大統領によっては、閉じたままの聖書に手を置くケースと、事前に章・節を選んでおいてそのページを開けたまま手を置くケースとがある。宣誓時の写真撮影で確認したところ、オバマの場合、聖書は閉じられたままになっていた。過去の大統領の選んだ聖書、また章・節については、Wall Street Journal がサイト上に設けている特集ページが便利。
リンカーン、キング牧師に自らを重ねるオバマ
リンカーンの聖書の選択、1月17日のフィラデルフィア―ワシントン間の通称「オバマ特急」の遊説の旅、さらに、1月19日(キング牧師の祝日)にはリンカーン記念館の前(キング牧師の有名な“I have a dream”の演説が行われた場所。私の同世代には、映画フォレスト・ガンプでトム・ハンクスが演じるフォレストがひょんなことから反戦運動のイベントに巻き込まれスピーチをし、幼馴染のジェニーと劇的な再会を果たす場所、と言ったほうが分かりやすいだろうか)での演説など、オバマは、米政治史上最も尊敬される大統領の一人であるリンカーンと市民権運動の英雄であるキング牧師とを、自らに重ね合わせることに成功している。オバマのこうした巧みなシンボリズムの利用は、自身の大統領就任が、ブッシュ政権8年に対して「変化」をもたらすだけでなく、市民戦争・市民権運動・人種差別問題など米国史の中で脈々と続く自由への闘争に照らし合わせた際にも重要な意味合いを持つことを、一般国民に改めて思い起こさせているといえるだろう。
宣誓でとちったジョン・ロバート最高裁長官
宣誓中の出来事で話題となったのが、同儀式を取り仕切ったジョン・ロバート最高裁長官のちょっとしたミス。宣誓は、ロバート長官が宣誓文を一文ずつ(長い場合は、きりの良い節で区切って)朗読し、オバマが反復する形式で行われた。しかし、ロバート長官の朗読が以下の一文に差し掛かった際に“faithfully”の位置を間違えたために、オバマはこれに気付きながら少し笑みを浮かべながらロバート長官の言ったままに反復しようとしたが、その時点で間違いに気付いたロバート長官が前言を訂正しようとして、あたふたするようなやり取りが行われた。ものの10秒ほどの出来事である。「まさか最高裁長官が、宣誓文をそんな重要な場面で読み間違えるなんて…」、とメディアで面白エピソードとして大々的に取り上げられる羽目になってしまった。
正しくは・・・
"I do solemnly swear that I will faithfully execute the office of President of the United States, and will to the best of my ability, preserve, protect and defend the Constitution of the United States."
宣誓での実際のやり取り・・・
ロバート: I, Barack Hussein Obama…
オバマ: I, Barack…
ロバート: …do solemnly swear…
オバマ: I, Barack Hussein Obama, do solemnly swear…
ロバート: …that I will execute the office of president to the United States faithfully…
オバマ:…that I will execute…
ロバート:…faithfully the office of president of the United States…
オバマ:…the office of president of the United States faithfully…
ロバート:…and will to the best of my ability…
オバマ:…and will to the best of my ability…
ロバート:…preserve, protect and defend the Constitution of the United States.
オバマ:…preserve, protect and defend the Constitution of the United States.
ロバート: So help you God?
オバマ: So help me God.
ホワイト・ハウスのウェブサイトが新装開店――WhiteHouse.gov
"CHANGE" をスローガンに大統領選を戦ったオバマだが、就任してその"CHANGE"が最も早くに訪れたのが、ホワイト・ハウスのウェブサイトだった。オバマの正式な就任が正午であったのに対して、宣誓がこれに5分ほど遅れたことは上に述べた通りだが、ホワイト・ハウスでは正午になると同時にウェブサイトの「新装開店」が行われていた。ブッシュ政権下で使用されていたウェブサイトは、技術的にも情報量的にもシンプルなものだったが、インターネットを選挙資金集めや選挙民とのコミュニケーションに巧く利用したことで有名なオバマらしい新サイトに生まれ変わっている。写真、記者会見、法案、オバマの政策方針などの情報量が格段に増えている上に、ホワイト・ハウスのコミュニケーション・スタッフが随時更新するブログ、一般国民からメイルを受けつける機能、重要な更新のメイル購読機能、緊急法案でなければ国民の反響を知るために法案を5日間一般公開するための機能など、満載である。メーコン・フィリップス(ホワイト・ハウス・ニュー・メディア部長)によれば、新ウェブサイトは、Communication, Transparency, Participationの三つに重点を置き、文字通り一般国民とのコミュニケーション、政権運営の透明性、一般国民の国政への参加をウェブ技術の利用によって高めていく方針だと説明している。
ケネディ上院議員、就任式後の昼食会で倒れる
オバマ就任式直後に連邦議会議事堂では、上下院合同委員会のホストで新大統領を囲む和やかな昼食会が開かれていた。会がスタートして1時間ほど経った頃だっただろうか。ライブ中継をしていたニュースメディアが急に慌しくなり、第一報として「昼食会の進行にそれほど支障はきたさなかったものの体調不良のため退席を余儀なくされた出席者がいた」との知らせがまず入った。やがて、それが昨年5月に悪性脳腫瘍が見つかり治療を続けていたエドワード・ケネディ上院議員(76歳・マサチューセッツ州・民主党)だったことがわかり、自体の様相は急に深刻性を増した。昼食会場の報道はいくつかのカメラを除いて制限されていたため、様々なうわさが飛び交う中、ケネディ議員は昼食中に発作に見舞われ救急車で病院へ搬送されたこと、意識はあり本人は呼びかけに受け答えしていたこと、などが確認された。
さらに、上院最長老のロバート C. バード上院議員(1959年から上院議員を務める米上院就任最長記録更新中、なんと91歳、西ヴァージニア州・民主党)も体調不良で退室したとの報道がなされたが、少し後になって同議員の報道官が語ったところでは、ケネディ議員と同じテーブルに座っていたバード議員は、ケネディ議員が倒れるのをまじかに見て興奮しており、バード議員の体調を気遣ったスタッフの判断で大事を取って退出させた、とのことであった。昼食会の締めくくりでオバマが、ケネディ議員の容体を気遣う言葉を述べている。この後、パレードに入ってお祝いムードを取り戻したが、昼食会場はもとより、メディアにも緊張が走った数時間だった。
チェイニー副大統領、車椅子で出席
チェイニー副大統領はこの日、就任式の会場に車椅子で現れた。VA州の新居に引越しでモノを運び入れている最中に、背中(腰)を痛めたためと報道されている。TV映りから非常に年老いた印象を抱かせ、本人にとっても残念な締めくくりの姿となっただろう。
大統領専用車「ビースト」のデビュー
就任式、議会での昼食会を終えたオバマは、議会からホワイトハウスへ車でパレードした。この際、大統領の新しい専用リムジン(シークレット・サービスの間で通称「ビースト」)がデビューした。GM社の高級車キャデラックの特注改造車で、厚さが5インチ(12.7cm)のドアに護られ、銃や想定される爆発物への防弾は当然のこと、バイオテロに備え、情報通信危機を満載した最新鋭・最強のVIP車である。セキュリティの事情で、社内の装備について詳しくは公表されていない。
約150万人の人出
「防衛、安全保障、航空宇宙、交通システム、リスク管理等に関する書籍・データ販売及び情報収集・分析業務、各種調査研究委託」サービスを提供するHIS Jane's社(同業界では有名なイギリスのJane's社とアメリカのHIS社が2007年に統合)がCNNに提供した情報によれば、就任式当日午前11時21分現在「モール」を衛星から撮影した写真で分析したところ、当日の人出は約150万人と推定されたとのこと。
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